おひとりさまや親族関係が希薄な場合、申立てや支援の担い手が不足しやすく、成年後見制度の使い方に固有の分岐が生じる。
本記事は、成年後見制度が対象とする範囲と、法定後見/任意後見の基本構造を整理する。
目次
対象と前提
- 対象は、認知症・知的障害・精神障害等により、日常生活上の法律行為を適切に行うことが難しい成年である。
- おひとりさま等では、申立て・支援の担い手が不在となりやすく、財産管理の不全や死後事務の空白がリスクとなる。
結論
成年後見制度は「法定後見」と「任意後見」の二層構造である。
法定後見は判断能力低下後の事後的保護であり、任意後見は判断能力がある段階で将来に備える事前設計である。
おひとりさまでは、申立ての担い手と死後事務の空白が課題となるため、制度単体ではなく周辺制度との組合せを前提に設計する必要がある。
後見の任務は本人死亡で終了するため、死後の事務は別の法的手段で補完する。
理由(法の論理)
- 成年後見制度は、判断能力が不十分な者の権利擁護のため、財産管理と身上保護を制度化している。
- 法定後見は、家庭裁判所が判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の類型を選択し、権限と監督の枠組みを付与する構造である。
- 任意後見は、判断能力がある間に公正証書で契約し、監督人選任により発動する二段階構造である。死亡後は後見の射程外となるため、死後事務は別制度で補完する必要がある。
手順/フロー
- 判断能力と担い手の有無を整理する
- 契約や財産管理を自力で行えるか。
- 申立てや支援を担える親族・関係者がいるか。 - 進路を分岐する
- 判断能力が十分:任意後見(事前設計)の検討に入る。
- 判断能力が不十分:法定後見(後見・保佐・補助)の申立て準備に入る。
- 申立権者が不足する場合:市区町村長申立ての可能性を含め、行政接続を検討する。 - 制度の空白(死後)を埋める
- 死後事務(葬儀・納骨・遺品整理等)は後見の外側である。
- 死後事務委任契約や遺言等の手段を別枠で設計する。
まとめ(要点)
- 成年後見制度は、法定後見(事後)と任意後見(事前)の二層構造である。
- おひとりさま等では、担い手不足により申立て・運用の設計が難化しやすい。
- 後見は死亡で終了するため、死後の事務は周辺制度で補完する必要がある。